通知領域の広告サービス Airpush はウイルスなのか

トップ>
ニュース>
新着ニュース>
通知領域の広告サービス Airpush はウイルスなのか

［最終更新日］:2012/04/25

　最近、Airpush という広告サービスを使って通知領域（通知バー）に広告を出すアプリを目にする機会があった。そのアプリのレビューでは、ウイルスソフトが Airpush がウイルスとして判定しているようだ。「ウイルスが入っているから怖くてアンインストールした」というレビューも目立った。

　「通知領域に広告」といえば、2012年1月に au one market アプリで通知領域に広告らしきものが出てきて炎上状態になったのは記憶に新しいところだ。（事の経緯、KDDI担当者の考えなどはケータイWatchにまとめられている)。

　プリインストールでアンインストールできない公式アプリで広告らしきものを出したことが炎上につながったのだが、そもそもユーザーは通知領域に広告が出るのには違和感を感じているだろう。では、なぜ通知領域に広告を出そうとするのだろうか。

　答えは通知領域広告の収益性にある。Airpushは、「Androidで10倍の収益を得る」というキャッチフレーズをかかげている。

　10倍といわれてもなんだかよくわからない読者が多いだろう。例として、広告配信で有名なGoogle Adsense、または Admob のCPM（1000回表示での収益)は、平均すると100円を超えることはまずない。（筆者の経験上の話で、サイト・アプリによっては超えることもあると思う）。

　一方、Airpushの平均CPMは $3 = 約243円を超え、執筆日の4月25日では $5.28 = 約428円で、Airpushの公式サイトには「通常$10 = 約810円以上のCPMを得ることができる」とまで記載されている。仮に、広告が100万回表示されたとすると、Google Adsenseの収益は最高10万円、Airpushの収益は最低24.3～最高81万円となる。広告の出力先が違うので一概に比較することはできないが、差は歴然だ。

　先月、「Androidは儲からない」として、人気ゲームメーカーが撤退を宣言した。メーカーの発表では、総人的時間の20％を費やしたがAndroid版の売上高は総売上高の5％だったという。OSの断片化や異なるGPUを搭載した多数の端末への対応に多大な手間が掛かったそうだ。現在、ボランティア精神な開発者もいるだろうが、利益を得るためにアプリを開発する企業や個人が大半だろう。そういった中でAndroidを儲かるものにしようとしたとき、Airpushを選択する開発者がいるのだろう。

　もちろん、Airpushを利用したアプリを良しとするか悪とするかは、そのアプリを使うユーザー次第だ。現状では悪の方が多いとは思うが「Androidは儲からない」現状では、Airpushを利用したアプリは多かれ少なかれ増えていくのではないかと想像する。